虫歯は放置するとどうなる?進行段階別にご紹介
はじめに

日常生活の中で、虫歯は誰もが一度は経験する可能性のある一般的な歯科疾病です。しかし、虫歯を軽視して放置してしまうことで、思わぬリスクや重大な健康問題を引き起こすことがあります。本記事では、虫歯の進行段階ごとの症状、放置することによって発生するリスク、さらに放置した場合の治療法について詳しく解説します。虫歯への理解を深めることで、適切な対処法を知り、より健康な口腔環境を保ちましょう。
虫歯の進行段階ごとの症状
虫歯は徐々に進行していく病気であり、進行度合いに応じて症状が変化します。
初期虫歯(C0)
この段階では、歯の表面に白濁した斑点が現れることがありますが、痛みなどの自覚症状はありません。フッ素塗布や適切なブラッシングにより自然回復が期待できる段階です。
エナメル質の虫歯(C1)
エナメル質に小さい穴ができ始め、冷たいものがしみることがあります。ただし、この段階でも痛みはほとんど感じないため、見過ごされがちです。
象牙質まで達した虫歯(C2)
虫歯が象牙質に達すると、温かいものや甘いものがしみたり、痛みを感じ始めます。この段階からは専門的な治療が必要になります。
神経に達する虫歯(C3)
虫歯がさらに進行し、歯髄(歯の神経)に達すると、激しい痛みが生じます。夜間に痛みが増すことがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
歯根に進行した虫歯(C4)
歯自体がほとんど崩壊し、歯根のみが残る状態です。この段階では、痛みは一時的に和らぐこともありますが、歯周組織への悪影響が大きいです。
虫歯を放置すると起こるリスク
虫歯を放置すると、以下のようなリスクが生じます。

感染の拡大: 虫歯が進行すると、細菌が歯髄に入り込み、炎症や感染を引き起こします。最終的には顎骨や顔面など、周囲組織に感染が広がることもあります。
歯の喪失: 進行した虫歯は歯の構造を著しく損ない、最悪の場合、抜歯が必要になります。歯を失うことは、噛む力の低下や見た目の問題だけでなく、他の歯への負担が増し、さらなる歯周病や虫歯を誘発します。
全身への影響: 虫歯を放置することで発生した細菌が血流に入り込み、心臓病や糖尿病の悪化、免疫機能の低下などの全身疾患のリスクを高めることが知られています。
放置した虫歯の治療法
放置された虫歯の治療法は、その進行度合いによって異なります。

軽度の場合(C1・C2): 虫歯の部分を削った後、レジンなどの詰め物を行います。この治療は比較的短時間で終わることが多いです。
中程度な場合(C3): 根管治療が必要となる場合があります。これは、歯の神経を除去し、根管を清掃・消毒した後、詰め物やクラウンで補強する治療法です。
重度の場合(C4): 歯を保存することが困難な場合、最終的には抜歯となります。抜歯後はインプラントやブリッジ、義歯などで機能を補う必要があります。
まとめ
虫歯は早期に発見し、治療を開始することが健康を維持する最善の方法です。症状が軽いうちに治療を行うことで、重篤な事態を避けられるだけでなく、治療の負担も軽減されます。日常的に適切な口腔ケアを心がけ、定期的な歯科検診を受けることが大切です。口腔内の健康は全身の健康につながるため、虫歯を放置せず早めの対処を心がけましょう。
執筆者情報

院長
小池 軍平Gunpei Koike
天然歯を守るための予防処置を、不運にも虫歯になってしまった場合は最小限の処置を。神経を除去しなければいけない場合は、予知性の高い、無菌処置を。 これらの努力により将来歯牙を失うリスクは減らしていくことができると思います。また、子供の頃から矯正治療によりブラッシングし易い環境を作り、より良い口腔環境を維持する癖をつけて将来の、健康維持のためにメインテナンスしていきましょう。
-
経歴
- 1971年
- 神奈川県横須賀市出身
- 1996年3月
- 神奈川歯科大学卒業
- 1997年3月
- 神奈川歯科大学付属大学院入学
口腔外科学第一講座 - 1997年4月
- 小池歯科医院開設
- 2008年
- 神奈川歯科大学咀嚼機能制御学講座
非常勤講師
-
所属学会
- 日本デジタル歯科学会 理事